2019年2月に吉祥寺のギャラリー・shell 102で行った「SLIT展」では、武蔵野美術大学の学生(当時)に展示のための「SLIT」のすべてを組み立ててもらいました(写真)。また、ギャラリーに「ワークショップ・コーナー」を設け、来場者に「SLIT」を自由に組み立ててもらい、それも「作品」として展示しました。
全体的に、自分が組み立てるのとは異なる「造形」群になり、本当に自分の個展なのか不思議な感覚に襲われたことを覚えています。
2022年1月、abstract project で開催された「randomness」では、パリまでの輸送途中で、あらかじめ組み立てて発送した「作品」の一部が分解してしまったとの連絡が入ったのですが、「ランダムをシステムに組み入れることは可能か」という企画テーマもあり、それをそのまま展示してもらいました。
SLITは、誰もが簡単に立体(空間)構成ができるツールです。前者はそれを検証することが目的であり、後者はアクシデントもまた「作品」の生成プロセスに関与することが可能であることを証明したかったのだといえます。
SLITの目的は「かたちをつくるしくみをつくる」ことであり、私にとっては、その「しくみ」こそが「作品」となります。
それは、誰もが「作家(アーティスト)」になることができる「しくみ」でもあります。
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